中国全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は4日、国歌を侮辱した場合、最高で懲役3年を課すことを盛り込んだ刑法改正案を可決した。台湾中央社が4日伝えた。
改正前、国旗と国章を「公衆の集まる場所」で焼いたり壊したりして侮辱した場合、懲役3年を課すると定めていた。改正法は「公共の場所」に改めた上、国歌を追加した。
また、同委員会は4日、国歌の尊重などを義務付ける「国歌法」を、香港とマカオの特別行政区基本法の付属文書として追加することを決めた。国歌法は、公共の場所で国歌を侮辱した場合の処罰することを定めている。基本法の一部となったことで、同法は香港とマカオでも適用される。
同委員会は、国歌は国旗、国章と同じく憲法が定めた国のシンボルで、国の結集力を高める上で重要な役割を果たすと指摘。香港、マカオの繁栄と安定のため、住民の国家意識と愛国精神を高めることは必要だとした。
香港では近年、中国国歌演奏の際、市民からブーイングが出ることがある。国歌法の適用により、言論の自由がさらに縮小するとの懸念の声が挙がっている。
全人代常務委員会法制工作委員会の張栄順副主任は先に国歌法案について説明した際「近年香港で国歌を尊重しない事件が数件起き、一国二制度の譲れない一線に触れている。香港は国歌法の規定を実現するための立法を急ぐべきだ」と語った。