米中関税戦争、トランプ氏劣勢 独メディア相次ぎ報道

25年4月28日米中 米中関税戦争をめぐり、ドイツの複数メディアは「ドナルド・トランプ前大統領は勝てない」との見方が広がっている。独経済紙「ハンデルスブラット」は、トランプ氏が中国を弱体化させようとしたが、結果的に逆効果だったと指摘した。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)が伝えた。

 独大衆紙「ビルト」によれば、トランプ氏は当初、中国からの輸入品に145%の関税を課したが、価格高騰と物資不足を懸念し態度を軟化させた。共和党は関税率の50~65%への引き下げを示唆し、ホワイトハウス内部でも調整が進む。背景には、ウォルマートなど大手小売チェーンの経営陣が、数週間以内にスーパーの棚が空になる可能性を警告したことがある。

 中国は毎年4380億米ドル(約63兆円)相当の商品を米国に供給しており、おもちゃや家具、照明器具など中国製品は米国人の生活に深く根付いている。

 トランプ氏は「中国政府との交渉で大量の成果が得られる」と主張するが、在米中国大使館は「中米間に関税交渉は存在しない」と否定。トランプ氏は22日のタイム誌とのインタビューで、中国の習近平国家主席から電話を受けたと主張したが、中国側は否定し、トランプ氏の誇張が浮き彫りになった。

 さらに中国は、保有する7590億ドルの米国債売却や、世界の大半を占めるレアアースの輸出制限を通じ、米国に圧力をかける手段を保持している。

 米国の著名な国際政治学者ジョナサン・クリストル氏は「米国は自ら仕掛けた貿易戦争に勝てない」と指摘。独「シュピーゲル」誌も、トランプ氏の関税引き上げ策が世界経済を深刻な危機に陥れる可能性があると警鐘を鳴らしている。

◇出典

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