中国財政相、今年の積極財政を予告 財政赤字過去最高に

 米公共放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議が6日開いた経済関連の記者会見で、藍仏安財政相は今年の財政政策が「より積極的になる」と述べた。
25年3月7日経済 海外の経済学者からは、中国がデフレに近い危機的な状況にあり赤字率の引き上げだけで、経済刺激策としては不十分で具体策に欠けるとの指摘が出ている。(写真はVOAのサイト)

 今年の財政赤字率は4%に引き上げられ、赤字額は5兆6600億元(約118兆円)と過去最高規模となる。地方政府の特別債や超長期特別国債を含む新規政府債券発行額は11兆8600億元に達し、前年より2兆9000億元増加する。藍財政相は、教育や医療、住宅保障への支出も拡大する一方で、地方政府の「隠れ債務」抑制策も強化する方針を示した。 

 専門家からは、財政政策の効果に疑問の声が上がっている。マレーシア・タルマナ大学の経済学者、黄錦栄教授は、昨年の消費者物価指数(CPI)が0.2%と低迷し、デフレに近い危機的な状況にあり、内需が著しく不足している指摘。赤字率引き上げだけでは消費低迷の解決には不十分であり、政府の認識不足を批判した。また、李強首相がインフレ回復を掲げながら、失業率見通しを5.1%から5.5%へ引き上げたことについて、経済学的に矛盾していると述べた。 

 オーストラリア・モナッシュ大学ビジネススクールの史鶴凌教授は、超長期特別国債は地方政府の債務を肩代わりするに過ぎず、真の経済刺激策ではないと指摘。中国政府は国有銀行に国債を購入させることで発行を可能にしているが、地方政府の資金運用の不透明性や汚職の懸念があると警告した。また、消費促進の具体策が示されなかった点も問題視された。 

 米中貿易摩擦について、王文涛・商務相は米国の関税政策を批判し「中国は対抗措置を取る」と強調。しかし、専門家は、中国の対応は主に国内向けのアピールに過ぎず、実際には慎重な姿勢を取っていると分析している。

◇出典

https://www.voachinese.com/a/chinas-npc-holds-press-conference-on-economic-issues-20250306/8001344.html
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