シンガポールの石油コンサルティング会社の幹部はこのほど、英BBC放送に対し、ベトナムと契約したカナダの石油大手タリスマン・エナジーの石油採掘船がベトナム沖の南シナ海で作業を始めたと明かした。中国の最高軍事機関、中央軍事委員会の范長龍副主席が先のベトナム訪問中、日程を短縮したのはこのためとみられる。
幹部によると、作業はベトナムの沖400キロのベトナムが「136-03鉱区」と呼ぶ海域で行われている。中国側は「万安北21」と呼び、中国共産党高官が幹部を務める香港の光匯石油に権利を与えた。
ベトナム指導部は、中国がシルクロード経済圏構想「一帯一路」を提唱し周辺国に参加を促していることや、中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)の準備中であるため、厳しい対決が起きる危険は少ないと判断したもようだ。
タリスマンはスペイン石油大手、レプソルが買収した。范長龍副主席が先ごろレプソルの所在地、マドリードを訪問した。范副主席がこの問題で抗議したかどうかレプソルは明らかにしていない。