中国の金融リスク上昇も、当局の対処能力が低下

 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは29日、中国で投資拡大と不動産値下がりによる金融面のリスクが上昇する一方、中国当局による対処能力が低下していると警告するリポートを発表した。米公共放送ボイス・オブ・アメリカ中国語版が伝えた。

 リポートによると、経済成長を支えるため、中国の銀行は2016年、1兆8400億米ドルの貸し付けを行った。半数が不動産担保貸付だった。

 このため中国各地で住宅価格が高騰。福建省福州市、アモイ市、浙江省杭州市など、沿海地区の各都市が住宅購入規制に踏み切り、融資の審査を強化した。

 同社のアナリスト、リリアン・リー氏は「中国の銀行の不動産担保貸付の割合が上昇し、他の貸付も影響を受けている。影の銀行(シャドーバンキング)も不動産への貸し付けが上昇を続けており、金融システム全体が住宅市場からの衝撃を受けやすくなっている」と述べた。

 しかし、資本の海外流出につながるため、中国政府が発動できる財政、通貨政策は限られており、金融リスクへの対処能力はむしろ低下しているという。

(参考)米公共放送ボイス・オブ・アメリカ中国語版

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