南京事件の宣伝と政治利用が歴史的研究を妨げているとする意見を、在日中国研究者の姜克実・岡山大教授(63)が1月30日、中国のミニブログに掲載した。台湾中央社が伝えた。
姜教授は、日本近代史と日本近代思想史が専門。ミニブログに「『南京大虐殺』の研究の現状に関する見解と、今後の提案」と題する文章を掲載した。
中国政府は2014年から12月13日を南京事件犠牲者の「国家追悼日」に指定。死者を30万人としている。
姜教授は、このようなやり方は宣伝と政治利用であり、中国政府が「非科学的な数字の主張」を行っていると指摘。犠牲者数は研究により結論付けるもので「研究の前提」ではないと主張している。
姜教授は、南京事件の今後の研究について「日本軍による市民、捕虜への大量殺害の原因」に絞るよう提案。市民と捕虜の殺害は戦争犯罪であり、国際法に違反するとの研究は、国際世論の支持を得られやすい」と述べた。
姜教授によると、中国における南京事件の宣伝は、怨みの感情をかき立てることを中心にしているため、逆に成果が上がっていない。
姜教授の文章は、ネットユーザーの間で大きな反響を呼び起こした。「誠実で理性的な人物で、中国には少なすぎる」、「この問題ではいかなる学術研究はもはや不可能だ」などと賛同する書き込みが多くみられた。一方で「売国奴」と教授を非難する記述もあった。