抗生物質の効かない薬剤耐性菌が中国の住宅地区にも拡散しているとのリポートを中英の研究チームがまとめ、英国の医学誌「ランセット」に発表した。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。
研究チームは2007~15年、浙江、広東の両省の2つの病院で、患者の腸内から1.7万件の細菌のサンプルを採取した。うち1%が薬剤耐性遺伝子を持ち、抗生物質「コリスチン」への耐性があった。コリスチンは、薬が効かない耐性菌への「最終治療薬」とされる。
中国では家畜の成長を早めるためコリスチンが使われているが、ヒトに使われるのはまれ。研究チームのリポートは、家畜用の薬剤が人体に影響することを証明した。
中国政府は2016年11月、農業でのコリスチンの使用を禁じた。英国の微生物の専門家は「薬剤耐性遺伝子は異なる細菌間にも拡散するため、感染者が突然急増する恐れもある」と話している。研究チームは、薬剤耐性菌問題の悪化を防ぐため、コリスチンの使用を規制するよう中国当局に呼びかけている。