南シナ海裁定に反発、米国系飲食店前で市民がデモ

 南シナ海の領有権を巡り、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、「九段線」など中国の主張を退ける裁定をしたことに対し、一部市民が反発を強めており、湖南省チン州市(チンは林におおざと)の米国系ファースト・フード店「ケンタッキー・フライドチキン」の前で18日、市民が「愛国」を叫んでデモを行った。河北省唐山市でも前日、同様の騒ぎが起きた。香港星島日報が18日伝えた。

 ネット情報によると、チン州市では18日午前10時ごろ、年配の女性ら10数人が店の前に集まり「ケンタッキーフライドチキンで食事しない」、「米日韓の商品をボイコットせよ」などと書かれた横断幕を手に持ち気勢を上げた。河北省唐山市でも17日、市民数十人が「米日韓比を拒否し、中華民族を愛せ」などと書かれた横断幕を持ちデモした。 

 裁定後、市民の一部が排外主義的な民族意識を強めており、遼寧省大連市の地下鉄車内で12日、米国のスポーツ用品ブランド「ナイキ」の運動靴を履いた男性が、見知らぬ男に「売国奴」とののしられ殴られる騒ぎが起きた。江蘇、河北省では純国産ブランドの乗用車「紅旗」の車列が「米日韓の商品をボイコットせよ」などスローガンを掲げて街路を走り回った。

 英フィナンシャル・タイムズ紙中国語版によると、中国のネット検閲機関は、河北省のデモなどに関する書き込みを相次いで削除している。

 中国は常設裁判所の裁定に反発しているが、国内の民族主義者らが街頭デモなどを行わないよう、最大限の努力を払っている。自国の外交戦略が強硬な世論の影響を受けないようにするためだが、不本意ながら紛争に突き進む恐れも否定できない。

 

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