中国政界の内幕物書籍・雑誌の出版と販売で知られる香港の出版社兼書店、銅鑼湾書店の出資者と職員5人が、中国当局に連行されたとみられる事件で、8カ月ぶりに香港に戻った林栄基店長が16日、記者会見し、香港の高度な自治を認める「一国二制度」に背いているとして中国政府を批判した。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。
会見によると、林店長は昨年10月24日、広東省深セン市の羅湖検査所から中国に入った際に捕まり、翌日浙江省寧波市に連行された。そのまま「居住監視」と呼ばれる軟禁状態に置かれたが、その間当局は、何の罪による軟禁か明らかにしなかった。
今年3月、広東省韶関市に移送され、中国本土の読者に、内幕物など禁書を郵送したことが違法だとして取り調べを受けた。さらに禁書の執筆者や情報源などを明らかにするよう求められた。
当局は、店長を今回香港に戻す際、「違法行為」の証拠として、禁書の郵送先リストを携帯し中国本土に戻るよう求めたという。店長は「本土に戻るつもりはない」と話している。
店長は「今回の事件は、自分個人と書店だけの問題ではなく、香港人全体と一国二制度に関わっている」と指摘。「中国政府が、一国二制度に違背いているかどうか、多くの人は分かっている」と述べ批判した。
台湾中央社によると、5人のうち出資者兼経営者の李波、親会社社長で出資者の呂波和、親会社幹部の張志平の3氏は既に釈放され香港に戻った。出資者の桂敏海氏の拘束は続いている。釈放された4人のうち、林店長を除く3人は、事件について沈黙している。
5人は昨年10月から12月まで、滞在先のタイ、中国本土、香港から失跡。その後、中国本土に禁書を販売した罪で取り調べを受けていることが分かった。
(参考)http://www.rfa.org/mandarin/Xinwen/7-06162016115711.html