4月に北京市内の軍隊系の病院でがんのため死亡した、西安電子科技大学の学生、魏西則さん=当時(22)=をめぐり、検索サイトと病院の営利第一主義に対する批判で世論が沸騰している。
米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、メディアやネットを監督する中国共産党中央宣伝部などは4日、ネットに対する規制強化と報道の沈静化などを命じた。
英BBC放送中国語版によると、魏さんは「滑膜(かつまく)肉腫」という珍しいがんを発病。中国最大の検索サイト「百度」を通じ、北京市の武装警察部隊系の病院「武警北京総隊第二病院」が「生物免疫療法」が有効との情報を得た。
病院は魏さんに、同療法は米スタンフォード大との共同研究の成果で、有効率は80~90%と極めて高く、20年生存できるなどと説明。魏さんは借金で約20万元(約330万円)の治療費を調達し治療を受けた。しかし、治療終了後まもなく、がんの肺への転移が見つかり、今年4月に死亡した。
魏さんが同病院を知るきっかけになった百度に対し、内容よりも広告料の支払い額により検索結果が左右されており、無責任だとして世論が強く反発。一部でボイコットを呼び掛ける声が上っている。
また、同病院を含む、公立や軍隊の病院が医療会社に診療の一部を外注し、営利第一主義の医療行為が行われている実態が判明。市民の強い批判を浴びている。
医療機関を監督する国家計画委員会は3日、魏さんの事件に絡み、「武警北京総隊第二病院」に対し調査を始めた。
(参考)http://www.rfa.org/mandarin/Xinwen/11-05042016142645.html