新疆ウイグル自治区の当局が事実上運営するニュースサイト「無界新聞網」に3月4日、習近平国家主席の辞任を求める書簡が公開された事件で、北京の消息筋はこのほど、海外の中国語ニュースサイト博聞社に、同自治区トップの張春賢・共産党書記の腹心が関与したと述べた。
書簡は4日、「忠良な共産党員」の署名で「習近平同志に党・国家の指導者職の辞任を求める公開書簡」と題して「無界新聞網」の「一帯一路(新シルクロード)」のページに掲載された。
書簡は、習氏が2012年に党総書記に就任後、過度の権力集中で党と政府を混乱させ、周辺国との緊張を高めて米国のアジア回帰を許し、国民経済を崩壊の瀬戸際に追い込んだなどと指摘。党と国家を指導する能力に欠けるとして、辞任を求めている。
掲載から数時間後、公開書簡は削除されたが、共産党中央は事態を重視。公安部の傅政華副部長が、約100人の専門チームを結成して捜査を始めた。まもなく、北京、新疆、広東、香港などで著名メディア関係者の賈葭氏、「無界新聞網」の李万輝董事長ら17人を連行して取り調べた。
消息筋によると、当局は、公開書簡は「無界新聞網」幹部と海外在住者の協力で行われたと断定。李董事長が証拠隠滅を指示していたことも突き止めた。李董事長は張書記の腹心で、自治区の党宣伝部の責任者も務めている。