米公共放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、中国で新型コロナウイルスの感染拡大が緩やかになるとともに、中国国有企業は大半が事業を再開した。内外のアナリストは、人々の往来と接触が増えるため、新たな感染拡大は不可避とみられる。中国の当局者は、感染拡大防止と経済回復という2つの任務のジレンマに苦しむことになりそうだ。(写真はVOAのキャプチャー)
中国新華社通信によれば、中国中央政府直属の国有最大手企業(中央企業)96社と傘下企業の管理部門は2月3日までに、事業の正常化を回復。2月26日までに、中央企業の子会社4万8000社のうち97.9%が事業を再び始めた。
これに伴い多くの都市で旅行を解禁、公共交通も復活し、社会生活の規制も緩和した。しかし中国の民衆と国際社会はともに、感染拡大の再発を懸念している。
シンガポールのリー・クアンユー公共政策学院研究員の唐安竹氏は「ビジネス活動、特に工場の再開で人々の移動と接触が不可避で、新たな感染拡大が起きるのは間違いない」と話している。
唐氏によると、中国の習近平指導部が、経済再興と感染拡大防止という2つの矛盾した指令を出しているため、中国当局者はジレンマに陥っている。唐氏は「最もあり得る結果は、地方政府の当局者が保身のため、経済統計の数字をふくらませることだ」と述べた。
VOAによると、日本経済研究センターの菅哲雄氏も、地方政府が、経済発展と感染拡大防止の2つの任務の間で難しいバランスを取ることを迫られていると指摘。外資の産業移転が起きないよう、中央、地方の政府はともに、真実の感染拡大状況を隠ぺいする可能性があるとした。また、地方政府が発表する事業の再開状況も、誇張されている可能性があるという。