
中国当局は治安維持予算を「公共安全支出」と呼ぶ。先の発表によると今年は1797億8000万元で、国防予算の1兆1900万元の15%にとどまった。ただ、中国本土の公式メディア「21世紀経済報道」は、「公共安全支出」を一般公共予算の23兆5244億元の5.9%としており、1兆元を超える計算となる。
治安維持予算は、警察や情報機関が使う人工知能(AI)、多次元監視システム、ビッグデータシステムなどハイテクシステムの構築に使われる。治安を乱す要素を消滅させたり、萌芽段階で摘み取ることが目的で、反体制派、人権派弁護士、労働運動指導者らの24時間態勢の監視を可能にする。
論評によると、中国当局が公表していない治安維持予算も存在する。北京だけで100万人近いとみられる民間の治安維持ボランティア、ウイグル人ら少数民族の「再教育」施設、党や軍と関係が深い民間企業による技術協力や警備部門の維持などに掛かる費用で、地方政府や企業が負担している。