中国政界の内幕物書籍・雑誌の出版と販売で知られる香港の出版社兼書店、銅鑼湾書店のオーナーでスウェーデン国籍の桂敏海氏が20日、上海から北京に向かう列車で中国の私服警官に連行された事件で、中国駐在の欧州連合(EU)のシュバイスグート大使は24日、直ちに釈放するよう望むと述べた。スウェーデンのバルストローム外相も23日(現地時間)、中国大使を呼んで釈放を求めた。米公共放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版が伝えた。

 中国当局は、桂氏拘束の理由を明らかにしていない。中国外交部の華春瑩報道官は24日、「外国政府は、真に国民を保護したいと思うなら、訪問や居住する国の法律を守るよう国民を教育すべきだ」と述べ、桂氏が罪を犯したことを示唆した。

 桂氏は、在上海のスウェーデン領事館員に付き添われ、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療のため列車で北京に向かっていたが、列車が北京に到着する目前、私服警官2人が現れ領事館員の前から桂氏を連行した。

 桂氏は2015年10月、滞在先のタイ・パタヤから中国の警察に拉致され約2年拘束された。同書店が習近平・中国国家主席のスキャンダル本を出版しようとしたことが原因とみられる。