中国政界の内幕物書籍・雑誌の出版と販売で知られる香港の出版社兼書店、銅鑼湾書店の出資者の桂敏海氏が20日、上海から北京に向かう列車で中国の私服警官に連行された。スウェーデン政府への秘密漏えいの疑いとされる。米紙を引用し米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。
桂氏はスウェーデン市民で、在上海の同国領事館員に付き添われ、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療のため列車で北京に向かっていた。列車が北京に到着する目前、私服警官2人が現れ領事館員の前から桂氏を連行した。その際、私服警官が領事館員に秘密漏えいが容疑と告げたという。
桂氏は2015年10月、滞在先のタイ・パタヤから中国の警察に拉致され約2年拘束された。他に林栄基店長、出資者兼経営者の李波氏ら銅鑼湾書店関係者4人が中国に拘束された。同書店が習近平・中国国家主席のスキャンダル本を出版しようとしたことが原因とみられる。
桂氏は17年10月に釈放されたが、ALSを発症した。娘によると、桂氏は完全に自由になった訳でなく、定期的に警察への報告が義務付けられていた。
スウェーデン外務省のカタリナ・ビレニウス・ロスルンド報道官は「われわれは何が起きたのか認識しており、厳しく対処したい。既に政治レベルで行動している」と述べた。