中国国防部は20日、米海軍駆逐艦が南シナ海の黄岩島(スカボロー礁)に接近し、中国海軍が退去させたと発表した。中国外交部の陸慷報道局長も、米駆逐艦「ホッパー」が17日、中国政府の許可なくスカボロー礁の領海12カイリ以内に入り、中国の主権と安全に脅威を与えたと述べて強く反発した。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版が20日伝えた。

 米国防総省は19日、国防政策の指針「国家防衛戦略」を発表し「中国とロシアは日増しに拡大する脅威」と指摘。中国について、南シナ海の軍事化を図っているとして批判した。

 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、ニューヨーク市立大学の夏明教授は米駆逐艦の航行について「中国が南シナ海を内海に変えようとする動きを、米国は座視しない考えを伝えたもの」と話している。

 スカボロー礁は、フィリピン・スービック港から約100キロにあり、中国と領有権を争っている。しかし、比大統領府報道官は21日「わが国が米国と中国の争いに巻き込まれることはない」とのコメントを発表した。