台湾で対中国政策を所管する大陸委員会が公表した8月の中国情勢の分析リポートで、今年夏に豪雨災害が頻発したことに民衆の不満が蓄積しており、習近平政権を脅かすほどではないが、今後、経済と社会の危機が高まるとの見通しを示した。

 リポートによれば、今年は激しい気象に加えて、河川管理や都市の排水、洪水防止のインフラ施設の不足や、公共建築の質の低さのため、中国では今年夏、豪雨による災害が多発。高速道路の陥没や堤防の決壊などが起きた。

 インフラ施設の破壊は、手抜き工事が原因との指摘もあったが、中央と地方の政府が、個人の情報発信を厳しく制限。湖南省の洞庭湖の堤防決壊でも情報統制が徹底される一方、責任追及は行われなかった。

 中国の権威主義体制は、政権の安定が最優先で、災害の予防や復興は無視される。災害対策でも軍隊を動員するのみ。気候変動対策の策定でも、市民社会の関与がないため民衆の需要に合わず、資源の浪費や汚職につながりかねない。

 気候変動を原因とする災害は、中国社会の動揺を招く恐れがある。中国の民衆の不満は、習近平政権を脅かすには足りないが、ポストコロナ時代における中国の経済と社会の危機を深める恐れがある。

◇出典

https://ws.mac.gov.tw/001/Upload/295/relfile/7758/80566/2a5ca40c-4c6a-47ad-ad20-c2d8d76e9d26.pdf

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