米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、新疆ウイグル自治区のウイグル族などに対する人権侵害で西側諸国が中国当局への批判を強める中、ドイツの化学メーカー、バスフ(BASF)が現地の合弁会社からの撤退を決めた。ドイツの自動車メーカー、フォルクス・ワーゲン(VW)に現地工場の閉鎖を促す圧力となる可能性がある。

 バスフは9日、新疆・コルラにある合弁会社2社からの撤退を発表。ビジネス上の理由によるものとしている。ただ、合弁相手企業がウイグル人の人権抑圧に加担しているとの報道について、事実ならバスフの企業としての価値観に合致していないと指摘した。今後、撤退の準備を急ぐが完了の時期は未定だという。

 専門家らによれば、バスフの撤退は他の西側企業の追随を招く可能性がある。新疆・ウルムチに工場を置くVWもその一つ。ウルムチ工場を堅持しているVWへの圧力が今後倍加しそうだ。

 独経済紙ハンデルスブラットは昨年11月、バスフの中国の合弁相手、中泰集団とその子会社の中泰化工がウイグル人強制労働者を使っていると報じた。米政府は、強制労働による製品でないとの証明がない場合、新疆製の製品輸入を禁じ、昨年夏、中泰集団と中泰化工を制裁対象のリストに掲載した。