米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、カナダ政府は23日、トルドー首相と同国の国会議員数十人が、中国政府が関与するサイバー攻撃を受けたことを明らかにした。

 「スパム偽装ドラゴン」と呼ばれる攻撃で、トルドー首相らのアカウントを乗っ取り、政治的なスパムコンテンツを大量に拡散した。カナダの政治家の名誉を傷つけ、彼らの中国批判を抑える目的があったとみられる。

 カナダ国際関係省によると、サイバー攻撃の黒幕は中国で、8月初旬に始まり9月に入って規模を拡大した。スパムコンテンツは議員の道徳や刑事上の問題を指摘して、名誉を傷つける内容だった。合成により捏造(ねつぞう)した「ディープフェイク動画」も含まれていた。

 カナダ政府は攻撃の被害状況を調査中で、SNS(交流サイト)などのプラットフォーマー各社にスパムコンテンツの削除を求めた。

 カナダの中国系元議員によると、カナダの中国系住民の多くは英語のメディアを読まない。「微信(ウィーチャット)」など中国政府のコントロールを受けたプラットフォームだけを使うため、情報が偏り誘導を受けやすいという。

 中国政府は25日、攻撃と中国の関係を否定した上「中国に関するうその拡散をやめるよう」求めた。
 ただ、SNSのフェイスブックを運営するメタは8月末、中国の宣伝活動に使われていた数千個のアカウントを削除したと発表した。

 メタによれば、中国の宣伝活動は50余りのプラットフォームを使い、カナダのほか台湾、米国、オーストラリア、英国、日本などの中国系のユーザーが影響を受けたという。

◇出典

https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/junshiwaijiao/lf-10242023133927.html

https://www.reuters.com/world/canada-says-china-linked-spamouflage-campaign-targeted-lawmakers-pm-trudeau-2023-10-23/

◇参考情報
カナダと中国が外交官追放合戦=西側と関係悪化の恐れ