香港紙のサウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)の15日の報道によると、米軍と中国軍の航空機と艦艇が2021年初め、台湾が統治する南シナ海の東沙群島付近でにらみ合い、非常に危険な事態に陥っていたことを中国軍が明らかにした。台湾の中央通信社が16日伝えた。

 米中軍の遭遇が起きたのは、米国で政権交代が起きる直前の21年1月5日。米軍機3機が中国軍の潜水艦を追っていたため、周辺で演習中の中国海軍の艦艇が対抗した。中国軍は、艦艇の規模などは明らかにしていない。

 米軍偵察機は、東沙群島付近にソナーを設置する活動を行っていた。中国は、台湾が統治する島への米国の支援を決して許さないため、当時、非常に険悪な状態となった。 

 SCMPによると、両軍が近距離まで接近したため、米軍は敏感な装備が中国軍の手に渡らないよう、ソナーを自ら破壊したという。

 米中両国の関係が悪化する中、偶発的な衝突への懸念が高まっている。シンガポールのリー・シェンロン首相は4月、国会で答弁した際、誤解や偶発事件をきっかけに米中が衝突するリスクが高まっているとして警戒を呼び掛けた。

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