20221208寛英BBC放送(電子版)によると、中国国務院は7日、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を再び大幅に緩和すると発表した。区域を跨いで移動する人員にPCR検査の陰性証明書と「健康コード」の提示を求めないほか、無症状感染者と軽症者は在宅隔離を認めた。(写真は東網のサイト画面)

 国務院は、入国者への隔離と検疫緩和には触れなかった。国家衛生健康委員会の米鋒報道官は記者会見で「外部からの感染防止策」の緩和の可能性を質問されたのに対し「段階的に進める」と答えるのにとどまった。

 中国政府は11月、コロナ対策を緩和し最適化する「20カ条」の政策を発表したが、新疆ウイグル自治区のウルムチ市で、コロナ対策で封鎖中の高層住宅で火災が発生。上海などで住民が「ゼロコロナ」による人身の自由の制限に反対して抗議行動を起こした。今回の一掃の対策緩和は、抗議を受けた結果とみられる。

 米公共放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は8日、3年続いた中国の「ゼロコロナ」政策にほぼ終止符が打たれたと報道。3年間、中国の対策は「ゼロ」実現に資源を集中し、医療面での準備をして来なかったため、突然の対策の大幅緩和で、大量の患者と死者の発生する恐れがあるとの専門家の懸念を伝えた。

 また、これまでの「ゼロコロナ」政策で失われた人命に対し、中国政府がどのように責任を負うのかに注目が集まっている。英ダラム大学の張晨晨助教授は「『ゼロコロナ』政策は終わった。しかし、政府はこの政策のために命が失われたことを認めないだろう」と指摘した。

 米紙ニューヨーク・タイムズのコラムニスト袁莉氏は、「ゼロコロナ」政策の撤廃が抗議活動の結果だと指摘した上「(隔離に向かう)バスの事故で失われた27人の名前、ウルムチの火災で亡くなった10人の名前、医療が受けられなかったり自殺で亡くなった人々の名前をいまだに知らない」と書いた。

◇出典

https://www.bbc.com/zhongwen/simp/chinese-news-63883937

https://www.voachinese.com/a/china-on-twitter-covid-end-20221207/6866829.html

https://www.voachinese.com/a/daylight-is-here-china-travel-searches-surge-as-public-cheers-covid-easing-20221207/6865904.html


◇参考情報
中国主要都市が「ゼロコロナ」対策緩和 「抗議活動が効果」と米国務省