20220927映
 香港メディアの星島日報によると、中国北西部、甘粛省の農民夫婦の暮らしを描いた劇映画「隠入塵煙」(砂煙に隠れる)が26日、中国の「愛奇芸」、「優酷」など主要動画サイトから突然一斉に取り下げられた。映画館での上映も、約2周間前に中止となった。農民の厳しい生活の描写が、西側への迎合との批判が強まり、当局から圧力を受けた可能性がある。(写真はFRAのサイト画面)

 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、この映画は下層農民の生活が題材で、7月8日に中国政府の許可を得て上映された。制作費200万元(約4000万円)の低予算だったが、約60日間で興行収入が1億元(約20億円)を突破するなど人気を呼んだ。今年の2月のベルリン映画祭のコンペティション部門にも出品された。

 映画は、貧しい中年の農民男性が、障がい者の女性と結婚後の生活を描いた。夫婦は貧困の中、政府の命令で自宅を取り壊されて住む場所をなくし、まもなく妻が水に転落して溺死するなど悲惨な状況が描かれる。

 星島日報によると、映画の公開中止をめぐりネット上では議論が百出。「良い文芸作品がなくなり、粗製乱造のドラマばかり」と惜しむ意見が出る一方、「中国は全面的に貧困から脱却した。うそを描いている」などの批判の声も挙がっている。

 当局サイドからも、映画製作の動機を疑う見方が出ている。社会評論サイト「崑崙策研究院」は「20回党大会を前に、中国の貧困救済は大きな成果を収めた。貧困を題材にした映画を制作し、帝国主義の側に立つのか」と批判。別の論評サイトは「西洋人は、中国の貧困を題材にした映画が好きだ」などと揶揄(やゆ)した。

◇出典

https://std.stheadline.com/daily/article/2488123/%E6%97%A5%E5%A0%B1-%E4%B8%AD%E5%9C%8B-%E9%9A%B1%E5%85%A5%E5%A1%B5%E7%85%99-%E7%AA%81%E9%81%AD%E4%B8%8B%E6%9E%B6-%E6%8F%AD%E8%A5%BF%E5%8C%97%E8%BE%B2%E6%9D%91%E8%8B%A6%E6%B3%81%E6%83%B9%E8%AD%B0

https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/meiti/bx-09262022100119.html
『進撃の巨人』、上海映画祭で上映中止、『繕い裁つ人』などは大人気