貴州省黔南州の三茘高速道路で18日午前2時40分ごろ、大型バスが走行中に横転し、乗客ら27人が死亡、20人がけがした。乗客のうち45人は省都貴陽市雲岩区の住民で、新型コロナウイルス対策の隔離先に向け移動中だった。中国メディアの中国小康網などがが20日伝えた。（写真は東網のサイト画面）

　バスには、住民と運転手と随行員各1人の型47人が乗っていた。雲岩区を18日午前0時10分に出発。隔離先となる同州茘波県のホテルに向かっていた。貴陽市政府は、事故対策チームを発足させ、現場などに派遣した。また、雲岩区トップの朱剛党書記ら3人を停職処分にした上、規則違反の疑いで取り調べを始めた。　

　台湾の中央通信社によると、上海金融法律研究院の聶日明研究員は18日発表した論評で「この事件は決して単純でない。（大型バスの）夜間運転禁止の規則に違反していたほか、運転手は防護服とフェイスシールドを着用しており、不快だったに違いない」と指摘。中央政府の「ゼロコロナ」政策が、地方政府の規則違反の頻発と、社会的混乱を引き起こしていると批判した。

　聶研究員によれば、陝西省西安市を皮切りに、今年に入って浙江省杭州市、天津市、上海市が相次いで、コロナの感染者が出た「高リスク地区」の住民を遠隔地に運んで強制隔離した。施設の条件は劣悪で、住民の怒りを買った。

　貴州省は山がちの地域で危険なため、長距離バスの夜間運転を厳しく規制。すべてのバスの通行が午前2時から5時まで一律に禁じられている。聶研究員によれば、厳格なコロナ対策が、交通など他の安全対策に優先されたことが、事故の原因になったとみられる。