中国の感染症対策の第一人者、鍾南山氏が6日、中国政府が続ける「ゼロコロナ」政策について、「長期間続けることは不可能」と指摘する英語の論文を、中国の学術誌「国家科学評論」に発表した。ただ、関連の報道は削除された上、中国メディアの多くは20日、鐘氏が8日「中国は、ゼロコロナを堅持する必要があると述べた」と伝えた。台湾の中央通信社が20日伝えた。

 鐘氏は、中国政府の最高研究機関、中国工程院のメンバー。6日、同誌の電子版に論文を発表し「ゼロコロナを長期間続けるのは不可能だ。中国は、社会と経済の発展を正常に戻すべき」と指摘した。

 論文の内容は、中国当局が目指す「ゼロコロナ」政策に抵触する。香港の英字紙、サウスチャイナ・モーニングポストは19日、同氏の論文が既に削除されたと報じた。

 一方で、界面新聞など中国メディアは、鐘氏が8日、天津の南開大で行なった講演の内容を紹介。それによると鐘氏は、現在流行中の変異株の「オミクロン株」について「感染力が強く、大規模に拡大すれば多くの命が失われる」とした上、「中国はゼロコロナ政策を堅持した上、段階的に社会を開放するべきだ」と語った。


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