台湾・中央通信社によると、中国共産党機関紙・人民日報は8日、中国当局による各業界への統制強化について「特定の業界を狙ったものではない」などと釈明する論評を掲載した。論評が、習近平国家主席が掲げる格差是正政策「共同富裕」に言及していないことも注目されている。

 中国当局は2020年から、金融や電子商取引(EC)、配車サービス、学習塾などの業界に対し統制強化を始めた。海外からは、中国当局による民営企業潰しであり、改革開放政策が変更されるとの懸念の声が挙がっている。

 人民日報は8日付紙面の1面に署名入りの論評を掲載。「プラットフォーマー、教育研修、サイバーセキュリティー」など多くの分野で管理監督を強化していることについて、「市場秩序の整備、新しい成長構造の構築、質の高い成長の推進」など高度の戦略的な観点からからの取り組みだと主張した。

 論評は、民営企業について「非公有経済が、中国の経済発展に占める位置と役割は変わらない」として、民営経済の振興を支援し、事業環境の改善を図る政策も不変だと指摘した。

 中国共産党中央委員会は8月30日に開いた会合で、独占行為を取り締まるための管理監督の目的として「新しい成長構造の構築、質の高い成長の推進、共同富裕の促進」を掲げていた。しかし、人民日報の論評は「共同富裕」の代わりに「市場秩序の整備」に言及した。

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