22021年4月23日豪 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、オーストラリアのペイン外相は21日、同国ビクトリア州と中国が締結した、シルクロード経済圏構想「一帯一路」に絡む協定を、連邦政府として破棄すると宣言した。 米公共放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、中国は強く反発。汪文斌報道官は22日、記者会見で「オーストラリア政府に厳しく抗議した。さらに厳しい対応を行う権利を保留する」と述べた。(写真はRFAのサイト画面)

 オーストラリアのモリソン首相は、「一帯一路」に絡むビクトリア州と中国の協定を破棄したのは、「自由で開かれたインド太平洋」を目標とする連邦政府の外交政策に合わないためと述べた。

 ペイン外相は22日、ラジオ局の取材に対し「今回の決定は特定の国に対するものではない。国家の主権と安全に重点がある」と語り、同州がシリアやイランと結んだ協定も破棄したことを明らかにした。
 豪中貿易紛争に詳しい、香港中文大のマーキュリオ教授はRFAに「今回の決定は、両国の貿易紛争が激化したことの結果だ。両国関係はさらに悪化する。協定の取り消しが中国を狙ったものであるのは間違いない」と述べた。

 オーストラリア政府は昨年、「外国関係法」を制定。国内各州や地方議会が、外国と結んだ協定を取り消す権限を連邦政府に与えた。

 RFAによると、ビクトリア州と中国の協定は2件あり、2018、19年に締結。「一帯一路」の推進に向け協力することが盛り込まれた。
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