ニュースサイトの新華網によると、中国甘粛省蘭州市政府は5日、記者会見を開き、蘭州市の製薬工場で昨年起きたブルセラ菌漏出事故について、対処の状況を説明した。それによると、これまでに発生地周辺住民の97.5%に当たる約5万5000人に検査を実施し、6620人が陽性と判明した。また、陽性者のうち337人に補償を行った。

 ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)によると、漏出は昨年7月24日から8月20日に発生。家畜用医薬品メーカーの中牧実業蘭州生物薬廠(蘭州市)が、家畜用のブルセラ菌ワクチンを製造中、期限を過ぎた消毒薬を使っていたため排気の消毒が不十分となり、同菌を含むエアロゾル(浮遊する微粒子)が工場外に漏れ出して、住民が感染した。

 当局は、ブルセラ菌の漏出を偶発的な単発の事件とし、工場は昨年12月7日まで操業を続けた。事故を起こした工場は今年10月にて一挙され、周辺の消毒を終えた。環境からのブルセラ菌の検出はないという。陽性となった住民のうち、今月4日現在、指定病院11カ所で126人が治療を受けている。

 当局は、事故を起こした工場のトップを含め、中牧実業の責任者8人に対し解職や警告などの処分を行った。工場では建て替えが行われて既に完了し、付属施設も90%が完成したという。

 ブルセラ菌感染症は、人畜共通の慢性の伝染性疾患。牛、羊、豚が感染源となり、肉や乳製品を経て人が感染する恐れがある。感染者は治療が遅れると、関節の痛みや発熱、脱力感などの症状が出る。深刻な場合、労働ができなくなる。 

★参考情報★
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