22020年11月05日蟻 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、中国電子商取引最大手の阿里巴巴(アリババ)集団傘下で電子決済サービスを運営する金融会社アント・グループの上場について、中国当局が3日、突然に停止を決めた。海外の専門家からは、中国は手荒なやり方のせいで、世界の投資家の信頼をさらに失ったとの指摘が出ている。 (写真はVOAのキャプチャー)

 アントは上海、香港の両証券取引所で新規株式公開(IPO)を実施し、合計約344億米ドルの調達を見込んでいた。個人投資家の購入申し込みが過去最高の3兆ドルと英国の国内総生産(GDP)に相当する規模で、世界的な関心の高さを裏付けた。

 米公共放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、中国当局がアントの上場停止を決めた理由として、中国当局が金融リスクを恐れたことのほか、創業者で著名資産家の馬雲(ジャック・マー)氏が、中国金融当局を批判したためのとの見方が出ている。

 中国当局は近く、インターネットの小口貸付事業を規制する法規を近く施行する予定。アントのビジネスモデルも影響を受け、株価が急落する恐れある。専門家は、個人投資家らの熱を冷ますため、上場を半年程度、遅らせたとみている。

 また、馬氏は10月末、上海で行われた金融関連のフォーラムで、担保融資偏重の中国金融界が時代遅れだと厳しく批判。中国当局は馬氏の発言で警戒感を高め、インターネットの小口貸付事業を規制する法規を急ぎ公布した。また、中国人民銀行など金融当局が、馬氏と幹部を呼んで事情聴取したという。
 
 香港中文大工商管理学院の李兆波・高級講師は、中国本土と香港に対する国際投資家の信頼に影響を与えることは確実と指摘。また「世界最大規模のIPOがこのようになったことは、中国の法規が不完全であることと関係がある」と語った。