中国長江河口沖約160キロの東シナ海で6日発生した、イランの海運会社所属のパナマ船籍のタンカー「サンチ」の火災は火勢が衰えず、11日現在も続いている。イランの産業界がつくる非政府組織(NGO)「イラン海運貨物団体」が、中国当局の消火と乗組員の救出作業が不十分だとして批判する書簡をイラン駐在の中国大使館に送った。外電を引用し米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

 「サンチ」は6日夜、香港船籍のばら積み貨物船「CFクリスタル」と衝突して炎上した。中国交通部は11日、消火と救出活動は続いており、消防船2隻が消火剤を吹き付けているが、悪天候と有毒ガスのため救助隊が近づけないと説明している。

 タンカーの乗組員は32人(イラン人30人、バングラデッシュ人2人)で全員行方不明。貨物船の乗組員は全部中国人でいずれも無事だった。

 イランではNGOが書簡を送ったほか、国営タンカー会社の広報担当者も「中国は油流出の防止を先に考え、船員の救出を優先していない。事故発生地が重要な漁場だからだ」と非難した。