中国本土の小学校で1日、抗日戦争の歴史をこれまでの8年から14年に書き換えた国定歴史教科書の使用が始まった。また、国語と道徳の教科書にも中国共産党史に関する記述が増えた。台湾中央社が31日伝えた。

 中国紙・法制晩報によると、新教科書は第2次大戦での中国戦線の役割と、全民族の団結による抗戦で中国共産党が果たした中核的役割を強調している。

 日中戦争の始期が、従来の「8年抗戦」は1937年の盧溝橋事件(七七事変)だが、「14年抗戦」は1931年の満州事変(九一八事変)となる。

 台湾政治大の劉維開教授は「中国共産党は抗日戦争史で自分の役割をさらに大きくし、歴史に関する発言権をさらに強めたいと思っている」と指摘。さらに「14年抗戦」だと日中全面戦争のきっかけとして盧溝橋事件が果たした意味が説明できなくなると批判した。 

 台湾の前与党、国民党は中国統治時代、抗日戦争の中核が自党であったとして中国共産党の歴史観に反対している。台湾国民党政権の元行政院長(首相)で、軍人として抗日戦を体験したカク(カク=赤におおざと)柏村氏は「九一八事変への変更は抗日活動と抗日戦を混同している。また、九一八事変で抵抗を指揮したのは中国共産党ではなく、東北義勇軍だ」と話している。