2019年2月7日豪 豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドによると、オーストラリア内務省は6日、同国在住の中国人企業家で不動産開発業を営む黄向墨氏に対し、国籍取得申請を却下するとともに永住許可を取り消することを決めた。黄氏は2011年から、妻とともにシドニーに居住していたが、現在は入国禁止となっている。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)が2日伝えた。(写真はRFAのキャプチャー)

 同紙によると、豪州当局者は内務省の決定について、黄氏が国籍取得申請の面談で示した「道徳観」と、提供した情報の信頼性に疑問があるなど複数の原因があったと述べた。

 豪内務省はAFP通信に対し、コメントを避けた。ただ、オーストラリアの情報機関はこれまで長らく、中国政府が政治献金を通じオーストラリアへの影響力を拡大し、国家制度に干渉していることに懸念を表明してきた。

 オーストラリアの情報機関は、黄氏と別の中国系企業家、周沢栄氏から政治献金を受け取らないよう政界に警告してきた。オーストラリア議会は昨年、外国からの干渉防止と情報機関の改革を内容とする法律を可決した。

 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、黄氏は2017年、野党・労働党のサム・ダスティヤリ元上院議員に法的な費用を立て替えた。ダスティヤリ元上院議員は同年、黄氏と記者会見に同席し、南シナ海の領有権問題で中国を支持する発言を行っため、所属する労働党の政策と異なるとして問題となり、最終的に辞任に追い込まれた。

 米マイアミ大のアジア問題の専門家、金徳芳教授は、オーストラリア政府は、外国政府と関係する人物が自国政治に関与することに対し、強い態度を取り始めたと指摘。「政治的スキャンダルの後ではあったが、とにかくオーストラリは目覚めた。次はオーストラリア市民の資格を持つ中国系移民が、中国当局の嫌がらせや脅しを受けないような措置を取ると聞いている」と述べた。


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