2019年1月24日豪 オーストラリア外務貿易省は23日、同国籍の中国人作家、楊恒均氏を拘束したことを、中国当局が北京のオーストラリア大使館に通知したと発表した。同省は中国当局に拘束理由を訪ねるとともに、領事との接見を求めた。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が同日伝えた。(写真はRFAのキャプチャー)

 楊氏は元中国外務省職員。退職後は小説家に転身しスパイ小説などを書いていた。2000年にオーストラリア国籍を取得。近年はブログで政治関連の評論を発表していた。拘束は、政治評論が関係している可能性がある。また、カナダ当局が華為技術(華為、ファーウェイ)の孟晩舟副会長を逮捕した事件への報復との見方も出ている。

 楊氏は18日、米ニューヨークから広東省広州市に到着。その後、予定を変更して上海に向かった後失跡した。ミニブログやツイッターなどSNSの更新は止まっている。知人のシドニー工科大の馮崇義準教授は、楊氏が広州の空港から情報機関の国家安全部の係官により連行され、現在北京にいると話している。

 楊氏の拘束は政治的な発言が理由との指摘がある。しかし、馮氏は「彼の最近の評論は、以前ほど鋭くなく、中国政府を怒らせることはない」と反論。ファーウェイ副会長の逮捕の報復で、中国がカナダ人2人を拘束したことをオーストラリア政府が強く反発しているため、楊氏の拘束で圧力を掛けたとの見方を示した。馮氏は「(中国当局は)人質外交をオーストラリアに拡大した」と話している。